- 2009年3月 3日 10:29
- 環境問題
産総研「リグニン」から中空炭素微粒子 廃棄バイオマスを有効活用より
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)のバイオマス研究センター水熱・成分分離チーム(佐賀県鳥栖市)は、パルプや植物を原料にバイオエタノールを製造する際に出てくる高分子化合物「リグニン」から、無機塩を使って中空炭素微粒子を製造する技術を開発した。国内の製紙製造から出てくるリグニンは年間700万トンとされ、貴重なバイオマス(生物資源)でありながら、その多くが焼却処分されている。今回の技術開発は、いわばゴミとして扱われているリグニンの有効な再利用方法として注目を集めそうだ。
≪大きさは微小≫
地球温暖化といった環境問題を背景に、化石燃料に代わる地球によりやさしい生物資源への転換が求められている。その一つとして期待される燃料がバイオエタノールで、サトウキビやとうもろこし、木材などを原料としている。バイオエタノールの中の炭素は植物が大気中の二酸化炭素(CO2)を取り込んだもので、これを燃焼させても大気中のCO2はトータルとして増加しない。しかし、製造工程から出てくる膨大なリグニンの処理が課題となっていた。
今回の研究は、水溶性リグニンと無機塩を水溶液にして小さな液滴を作る。それを乾燥させてリグニンと無機塩の複合微粒子を取り出す。この複合微粒子を600~800℃で熱分解し、その後乾燥させると中空炭素微粒子ができたという。
大きさは、直径数ナノ(ナノは10億分の1)メートルから数十マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルと微小で、容量200ミリリットルの容器に中空炭素微粒子を満タンに詰めてもその重さは3グラムにも満たないという。
≪素材用途広げる≫
中空炭素微粒子は、タイヤの補強材や顔料として利用されるカーボンブラックと呼ばれる物質の代替品としての活用が期待されている。カーボンブラックは現在、化石資源からつくられており、その量は年間1000万トン程度にのぼっている。
また、中空炭素微粒子は製造する際の条件によっては、高圧で押しつぶしても、元の形状に復元するような高い弾力性を持つ。中空炭素微粒子をゴムやプラスチックなどに複合させると、製品の軽量化や製品の強度アップといった特性の向上につながる可能性があるという。
バイオマス研究センター水熱・成分分離チームでは、「今回開発した炭素微粒子は表面積が大きく、弾力性のある微粒子も製造できる。今後も研究を進め、ゴム補強剤をはじめ、軽量充填(じゅうてん)材、断熱素材、誘電材料、静電防止材、吸着材などへの用途を広げていきたい」(亀川克美主任研究員)と期待している。